2009年12月7日月曜日

丸の内で空を見上げて


東京はかなりの範囲でその時々の思い付きの計画でビルが立ち並んでいるので落ち着かない街並みが多いけど
丸の内あたりは三菱の長年の仕切りが入っているのでちょっとだけ美しい箇所もある。よね。
雲のスクリーンに投射するプロジェクター・・と見立てるとちょっと悪くない。かも。

丸の内線側から新丸ビルに入る自動ドアのあたり、すっごく突き刺さる音が天井から鳴っていて(ネズミ避け?超音波のつもりなのだろうか・・?)
でも次々に平気な顔をして人々が往来するのはちょっと不気味。

2009年11月28日土曜日

光る樹の根本

友人のシンガーAseiさんの携帯サイトを私の連れが作ることになったので、
その打ち合わせをウチから歩いて30秒くらいの図書館でやるコトにして、
私は二人を待っていた。
お互いの顔を知っている私がまず二人を合わせて、あとはテキトーに…
という流れだ。

前庭、というか簡単な公園を兼ねたスペースを持つ
ガラス面積の多い建物で、規模が小さいせいかあまり人が来ない、
でも愛用している人はそこそこ多いいい図書館だ。
今回みたいに打ち合わせにも使える簡単な喫茶もある。

彼らの顔合わせも無事済み暇になった私は、
たまにガラス越しに彼らが談笑しているのをなんとなく確認しながら、
しばらく公園でブラブラするコトにした。
ウチはすぐ近くなので帰ってもいいんだけど、気持ちのいい日だったのだ。

しばらくすると、顔見知りの黒人がやってきた。
ホントは知らないフリをしたい知人だったんだけど、
障害物の無い人気のない公園、そういうワケにも行かず、簡単な挨拶をした。

案の定、一緒に来た仲間となんだか良くない相談をしている。
「人を殴るというのはそういうんじゃダメだ…、俺が教えてやる」
とかいいながら、ボクシングの真似事をやり始めた。
イマイチっぽい仲間を相手に軽くパンチを繰り出している。
さすが黒人で、繰り出すパンチのリーチが長い、異様に長い。
パンチは確かに有効なんだろうけど、見ていてちょっと異様(笑)
戦っている男、というより
変わった捕食動物が特別に進化した触手を伸ばしている
そんなカンジに見えた。

手応えのない仲間相手にしばらくそうした後で、案の定
「お前も俺のパンチを受けてみないか」と尋ねてきた。
そうなると断るワケにもいかず、薄いミットの様なモノを借りて、
彼のパンチを受けるコトになった。
人を憎んでいる様に見える彼の顔を正面に見据えながら、
それなりに「効いている」雰囲気を出しながら何発か付き合う。

最初の衝撃はそんなでもないのに、手のひらにジワっと押し込まれる感触が
なんとも気持ちわるかった。

しばらくして一応満足したのか、彼は仲間を連れて何処かに行ってしまった。
ヤレヤレ…

また元のベンチに戻ってボンヤリ座っていると、遠くから私を見ている女性がいる。
「ああ、そうだ、さっき占いをやってもらったよな…」
彼らよりも早く来ていた私は、
ここで「占い師の練習をしている」という彼女のために練習台になっていたのだ。

しばらく目を合わせた後、思い切った様に立ち上がり、
広場を真っ直ぐに横切って私の処にやってきて横に座った。
「もしよかったら…30分くらいでもいいから、私と散歩しません?」
と言う。
痩せてちょっと色の黒い、目鼻立ちのしっかりした綺麗な顔をしている。

いったん図書館に戻り、まだ打ち合わせ中だった連れの耳元で小声で
「さっき公園で会った女性とちょっと散歩してくる。遅くなっても心配しないで」
と言うと何かブツクサ言っていたけど、そのままにして出てきた。

歩き出すとすぐに、彼女は私の手を握ってきた。まあいい。
最初の角を曲がると、今度は手を回してきた。私もそれに応えてお互いに
腰に手を回して、ぴったり寄り添って歩いた。

しばらく歩くと、道路の反対側に大きな木が見えてきた。
地面から一メートルくらいの高さのトコロに、薄くもやがかかった様になっていて
キラキラ光っている。

猿丸神社の御神木と同じだな、と思った。




2009年8月16日日曜日

ひがし茶屋街の猫奴さん


ひがし茶屋街には首輪をしていない、
カテゴリー的には野良猫なのだろうけど
皆に認知され育まれている猫が何匹かいる。
それぞれ大体のテリトリーを持ち、
風景に溶け込みながら暮らしている。

この姐さんは・・・
ひがしの広見前、螢屋さん周辺がお気に入りの様子。
自由気ままに、優雅に歩き回り佇み、寝転がる。

ちなみにこの30秒くらい前は柳に集う若ツバメ達
(ひがしでは軒先にツバメを迎える家が多い)を狙って
幹を2階の高さくらいまで、あっという間に登り、降りて来た。

もう、そんなコトは・・・・まるで無かったかの様。

2009年7月8日水曜日

よろずのことは、月観るにこそ


東京の自宅マンションの窓からも、年に何回か素敵な月が眺められるコトもある。
なんていうだろう、モチロン満月は一年に12回やってくるけど趣がね・・・
低い薄い雲が早く動いているコトからも分かるけど、風も心地良い夜。

兼好法師の「この出だしは何だっけ・・・」と読み返してみると(二十一段)
「月、花はいうまでもないが、風は、特に、人間に興趣を感じる心を催させるもののようだ。・・・」(安良岡康作氏訳)とも書いてある。
何度も読んだつもりだったんだけど「こんなコト言っていたっけ?おお!」ってちょっとウレシイ気分。

あなたも風派でしたか。

2009年6月8日月曜日

劇場での日々


金澤にいる時は毎日目にする&夕暮れ時にはビール片手に必ず舞台に立つ(笑)梅の橋演舞場。
今にも何か舞台が始まりそう・・・でもあり。
既に上演中・・・とも言えそう・・・でもあり。
金澤旧市街という複合劇場施設の中の浅野川小ホール。
犀川大ホールに比べキャパは少ないけど造りは濃厚。

2009年6月6日土曜日

PMC


百万石まつりの当日、
エフエム石川の西坂さんに案内して頂き金沢工業大学のPMC
巨大なレコードアーカイブ。
日々インデックス化が進んでいて20万枚近くある蔵盤は一目瞭然。
で、自由に試聴が出来る。(10数席用意されたボディソニックシートで・・・)
DJ界を中心に世界的にそこそこ知れ渡っているのも納得。
同行のTさんは自分がプロデュースした数々の名盤を見つけてご満悦。

桃源郷
そしてとても、とても大切な未来へ向けての財産。
僕たちは普段ずいぶん簡略化されたCDやAAC音源を聴いているからね。

2009年5月9日土曜日

大手掘


子供の頃から夢に何度も何度も出てくる大手掘。 左手の石垣から先は昔はホントに鬱蒼とした森、 夜になると巨大な黒い塊だった。手前の、トップリ水を湛えたお堀は変わらず。
適度に整備され、ゆったりと過ごせる場になった。 一年を通して様々な美しさを見せてくれるお堀。

2009年5月1日金曜日

夕暮れタイムトンネル

白い壁と透明なガラスで出来たこの建物は金澤の刻々と移りゆく光を映してそれ自体が鑑賞対象。 タレルさんの部屋から眺める切り取られた空もいいけど(実は・・・空から降ってくる音もかなりイイ)こういう時間の(マジックアワーの)外観は思わず息を呑む。
すっかり青いとばりが降りてきた空と明るく輝く室内の対比がちょっと不思議。あちらこちらに異次元の狭間がある金澤、ここにも次元のズレがありそうだ。

2009年4月14日火曜日

Dotバト


浅野川 大橋〜梅の橋の間の河原を覆い尽くす花片。
散ってもまだまだ楽しめるのが金澤のサクラ

2009年4月13日月曜日

W次元坂


文学作品にもたびたび取り上げられ、そのちょっと洒落たネーミングとも相まって、金澤でも有名な坂。
古い坂の骨格や石組み、趣は最大限に残しつつ、絶妙なさじ加減でリニューアルされた現代版 W坂。
(金沢市はこういうのとても上手。いつも感心)
ここは藩政期に奥方へのサービスとして城から桜霞を眺めるために桜を植えたあたり(優雅な話。昔は桜畠と言った)渋い石垣と桜のマッチングはいかにも金澤。
石段を踏むたび、角を曲がるたび、どんどん変化する眺めを味わっているうちに、いつのまにか降りて(上って)しまう。
寺町台地と犀川河畔というキッチリ隣接している異界を結ぶ坂。

2009年3月13日金曜日

ナイトメディテーションバスコレクション、再び


去年の11月に限定発売され、すぐに完売してしまった
アユーラ ナイトメディテーションバスコレクションが
今度は桜色のプレーヤーになって限定発売中。

思い返せば…いつだったっけ…20世紀の終わり頃か…
「アユーラブランドを浸透させるイベント会場に流す音楽を…」
というオーダーで作った数曲が好評で
(自分自身とても気に入った仕事)
その後
「聴いてリラックスして、綺麗になる」という商品企画が立ち上がり
アユーラCD「快」が発売され・・・

そして去年の夏
このアルバムを組み込んだ素敵な限定商品の話を頂き…
そしてまたニューバージョンの発売…

アユーラを通して
「こういう機会がなければ接しなかったであろう人達」
の耳にも私の音楽が届いているんだろうな〜と想像すると
とてもウレシイ♪

ブログの表題にもあるように
「金澤を愛する作曲家」の
金澤での美しい記憶を元に作られた曲が沢山収録されています。
地元の人達にも沢山愛聴してもらいたいモノ

2009年3月3日火曜日

手拍子委員会


天井がパノラマルーフになっている幅の広い軌道バスに乗って、未来的なビルの建ち並ぶ島々を結ぶハイウエイを新しい‘高速鉄道’に乗るために、最近出来たばかりのステーションビルに向かって移動していた。

夕暮れの濃い青空に浮かぶ、微かに赤みを帯びた雲が美しかった。ステーションの真下の片側三車線の真っ白なトンネルに入ると、外の光よりも遥かに明るいすっきりした光で満ちていた。

正面から巨大な銀色の鉛筆の様なカタチの列車が同じ軌道上をこっちへ向かってゆっくり移動してきて、そのままでは衝突する気がしたけど、程なく一両ずつ蛇腹状の連結部分が170度!ほど折れ曲がり軌道からそれて、となりにトンネル状に空いていた格納庫に器用に、すっぽり入っていった。

その間一切金属の擦れ合う音などはしなかった。

自分達の乗る予定の列車は地面の中を主に進む、銀色の巨大なミミズの様な乗り物だった。

乗り込む前にまず、その乗り物についての展示スペースに通された。スポンサーからの宣伝や簡単なレクチャーを受けなくてはいけないみたいだった。間もなくちょっとしたオープニングアトラクションが始まった。

それなりの映像効果と音の中、あちらこちらの壁がブーンという振動と共に順々にミミズのアタマ状に膨れあがり、それはこの乗り物が地中を力強く進むイメージを表現したモノらしかった。
お金のかかった演出だったけどあまりいいカンジはしなかった。

そのうち、スタッフ達が誰彼ともなく、なにやら話しかけ始めている。そばで聞いていると乗客を代表して何か一言ステージに登って話して欲しい、という交渉だった。
なんだか面倒なカンジになってきたので、しばらく隠れていようと思い、たまたま近くにあった階段で、すこしの時間だけ下のフロアーに避難するコトにした。

下に行ってみると、そこは最近改装したばかりの老舗の蕎麦屋だった。

古い建築意匠のまま、思いっきり明るい色の白木をふんだんに使った内装で、若女将をはじめ、店の従業員達の活気溢れる声が響いていた。
まもなく玄関でひときわ響くテノールの声がして、そこの名物出前持ちの老人が戻ってきた。古くからその店に伝わる宣伝文句を優しい節回しで唸りながら岡持をもって歩き回るのだそうだ。外から帰ってきてもそのまま、一節だけ名調子を聴かせてくれるのもこの店の名物で、お客達はみな、食べている手を休めてそっちを向いた。

自分はまだ席についてなかったので、そのまま玄関の方に行ってみると、老人が担いできたのは、岡持というより、江戸時代の夜鳴き蕎麦屋が引いていた屋台くらいの大きさの段違いの棚の様なモノで、小柄な老人はすっかりその陰に隠れて見えなかったけど、所々しか判らない古い言葉を使った優美な唄がその向こうから流れてきた。

一節唄い終わると常連客達が違う唄をリクエストし出した。「ぜひ久々にあれをやってくれないか…」そんな声がする。老人の快い承諾の声がすると店中はますます沸いた。とほとんど同時に老人は玄関脇のちょっと低めの神棚くらいの位置にしつらえてある、光沢のある黒い板の上に身軽に飛び乗った。

老人は日本猿が立ち上がっている位の大きさしかなかった。

飛脚の様な服を着ていて露出した皮膚は顔も体も全部濃いピンク色で、古いNHKの人形劇に出てきそうな、ざらざらした布で出来ているみたいだった。目だけは作り物ではない生命の光が宿って いたけど、白目の部分が無く全部鈍く輝く黒目だった。
老人は黒い板の上でひらりひらりと舞いながら唄い始め、皆それに合わせて手拍子をとりだした。音程の上下動を三分の一くらいに減らした炭坑節の様なメロディーだった。僕が一拍目と三拍目に叩いていると、何人かは二拍目と四拍目に叩いていて(要するに四拍全部手拍子がある状態)うるさい。

いつの間にか入り口に一番近いテーブルに黒いスーツを着た男女四人組が陣取り、分厚い本を何冊も広げながらさかんに議論している。手拍子を何拍目に入れるべきなのかを決定する委員会のメンバーだった。

議論に結論が出ないまま、うるさい手拍子が続いているまま、老人は唄い続けた。

2009年1月30日金曜日

Spontaneous


今年の年賀状、兼どあノブイメージポストカード。

私は冬の金澤の空がかなり好き。
目まぐるしく天候が移り変わり
雲のグレーは幾重にも折り重なり・・・とても味わい深い。

これは2009年1月2日の金澤。
この日は雲間から太陽が差す中、
音をたてて霰が降り注ぐ、金澤冬日和。
※「金澤冬の回り舞台」としてもっか提唱中

「Spontaneous」は妻の提案。カラスがとても楽しく自由そうに見えるでしょ。

同じ1月に撮影場所の21美でも「スポンティニアス」なるものへ・・・
というトークショーがあったみたい。
これもちょっとしたいい偶然。

2009年1月28日水曜日

ウツボカズラ

ジロウが
「今日のお祭りに屋台を出すから、元締めに挨拶に行く」というので、
私も一緒について行った。

古い小さい薄暗い商家の、番頭が座っていそうな場所に元締めは座っていた。
彼以外は誰もいなかった。ジロウが彼に向かって中腰になり
「おひけぇなすって~」みたいなカンジではじまる挨拶をはじめた。
自分もとりあえず中腰になってじっとしていた(笑)

話も終わり「まあ、頑張りな…」みたいな、打ち解けた雰囲気になってきたので
私はトイレを借りるコトにした。(お酒を飲んで寝るから、よくトイレに行く夢を観るんだ)

たたきの奥にある…と言われドアを開けてみると片一方の壁が床から天井まで全部ガラス張りの小さい個室になっていた。
あとの壁はタールを塗った様な焦げ茶色の板張りだった。
ガラスの向こうは、雑草が生い茂る小さな庭みたいなスペース。
一応外からは誰も入れないらしい。
一メートル先くらいに隣のウチの古い崩れかけた土塀があった。
午後の光を浴びて薄茶化ていた。
確かに誰にも見られないから、これでいいんだろう。
外を見ながらなんて、なかなか洒落ている。

外をよく見てみると、雑草だと思っていたモノのほとんどは、ウツボカズラだった。
こんな場所に群生して…大丈夫なのかな。
なんて思いながら、

初めて実際に、お目にかかるその食虫植物に、ちょっと見とれていた。

2009年1月2日金曜日

銀残しのアラレ


金澤の冬の天候は目まぐるしい。
霰が降り、日が差して、雨が降り・・・5分刻みくらいのコトもあり。
舞台を回す裏方さんはさぞかし忙しいコトでしょう・・・
この日は何度も天気霰に見舞われ・・・とても楽しい午後。
アラレが上がって弱い日が差して曇って・・・街中銀残しのフィルムを観ている様