2006年9月18日月曜日

井の頭線


ちょっと山奥の、おそらく元々何も無かった山林を
テキトーに切り開いて無理矢理作った観光施設に行く。
ありがちな巨大ログハウスふうの造りだ。
道を渡った向かい側に「無料露天風呂のある施設も併設」
というコトらしいので行ってみるコトにした。

前の道のカーブがちょっとブラインド気味なのにミラーがないのでちょっと危険だ。
慣れない観光客が、フラフラ横断するというのに。
傍若無人な大きなダンプカーがたまに通るのだ。結構なスピードで。
でもそういうコトは全く気が回らない
そんな荒っぽい、ザックリした雰囲気が全体的に漂う土地柄だ。

道を渡って…温泉施設までは、演出なのか怠慢なのか、道らしい道は整備されていない。
やたら伸びた芝生の上を裸足で歩く。
しばらく行くと突然、一面黒い碁石くらいの大きさの玉砂利が敷き詰められて、水が流れている場所に出くわした。
裸足で歩くとなんとも気持ちいい。
連れに勧めると、スニーカーのまま入ってくる。
ダメだよ。脱がなきゃ

入ってみると地元の老人達が集う保養施設のような趣。
もう入り口でお金を払うような雰囲気。
まずお金を払って入ったその奥に、小さい無料露天風呂がある、ということらしい。
なんだそれ!?ほとんど詐欺
(笑、ホントはお風呂に入るのにさらにお金が要るんだけど、それが無料…という説明)

やけにつるっとした、ストッキングを被ったような顔の男がはいってきた。
どうでもいいコトを抑制の利かない割れたしわがれ声で、しゃべり続けている。
観ているうちにどんどん表情がかわる。顔の筋肉が特殊らしい。
その男に惹かれてなのか、どんどん地元の人達も集まってくる。
彼らは何か優待パスみたいなモノを持っているんだろう。気軽にドンドン入ってくる。
ますます地元民のサロン状態が高まってきたので、帰るコトにした。

帰りはちょっと険しいトレッキングコース
苔むした、岩が崩れそうな道。
そんなトコロを杖をついた盲人の人も登ってくる。
降りたトコロにはちょっと大きな駅があった。
ちょうど電車が来ている。

井の頭線だ。乗り換えが面倒だけど、これにのって帰ろう。

走り出してしばらくすると、すごいカーブを曲がる。直角だ。
ゆっくり走っているのに、つり革に掴まっていないと立っていられない位。
風景も大きく動く…さすが住宅街を走っているだけあるな。
というか…なんか道の上っぽい…道の上だ。

そのうち、人がドンドン降りていった。見ると床に座布団があったので、それをひいて座った。
床は木製だ。窓からは秋の夕暮れの風が入ってきて、気持ちいい。
車内にはとくに照明はなく、薄暗くなってきた。

見渡すと、ちょっと離れたトコロにAsei君が座っている。
一人で楽しんでいるふうなので、そっとしておいた。

吉祥寺が近づいてきた。
駅前通りの空がぼんやりした紫色に染まって綺麗。
Asei君が、声をかけてきた。彼の親しげな声。
いつのまにか、前方のガラスが全部降りている。
二人並んで座って、夕暮れの中を進む、バス(いつのまにかバスになっていた)の前面に広がる景色をながめた。

もう乗り換えのコトはどうでもよくなっていた。