2005年4月25日月曜日

椿踏み踏み振り返る

観音坂(男坂)の石段を落椿踏み踏み登る・・・目の前の風景。
振り返ると・・・こんな風景


金澤の坂は登って眺めて登って眺めて・・・

2005年2月27日日曜日

真昼の好敵手



恐ろしい殺人者(というより宇宙から?のプレデターとい方が近い。少なくとも人間ではない)に追われ、ちょっと愚図な相棒と大きな倉庫に逃げ込んだ。
カラッとした日差しがそそぐ、真昼のコトだ。

とりあえず、倉庫の入り口近くにあった‘白い布団袋に入った何か’を
片っ端からうず高く積み上げて、簡単に入ってこれない様にするコトにした。もしもこっちに気がついてやってきたら、そこで手間取っている間に裏口から逃げる寸法だ。
どれくらい時間が稼げるか分からないけど。

とりあえず、かなり積み上げたので通風口からちょっと外の様子を伺ってみるコトにした。

かろうじて人間の形をした黒っぽい芯、の周りから炎が吹き出している物体は、歌う様な声を発しながら楽しそうに半ば狂ったように走り回っている。
泥がすっかり干上がった砂漠の様な地帯、真昼の日差しの中。

突然、空から巨大な巨大な深海魚(鱗が光線の加減で金色にも見える)がアタマから地上に刺さる様に降りてきて、暗殺者に挑みかかった。尻尾は、はるか上空にまで伸びていて見えない。
傲慢な紳士がステッキの先でアリを殺そうとするごとく、暗殺者の上にトントンと襲いかかる。
顔の縦幅だけで7メートルくらいありそう。
ボーリングハンマーのような動き。

真昼の、砂漠の様な荒れ地。炎を発する人。金色の鱗の巨大深海魚が空から…20世紀後半のシュールレアリストの絵画の様。
「これはいい勝負かもしれない、よしよし…」と思ったのもつかの間、ちょっと目を離した次の瞬間に、巨大な深海魚は全長10メートルそこそこの龍に変化して空中にフワフワ浮きながら暗殺者の後ろに従い、もう一つの倉庫に入っていくのが見えた。
「中で一対一でケリをつけようや…」という話になっているらしかった。とんでもないモノ同士、何か通じるモノがあったのだろう。
後ろ姿には早くも好敵手同士に芽生える友情の様なモノが漂っていた。

「いまのうちに出来るだけ遠くに逃げた方がいいだろう」と考え、
彼らが倉庫のドアから入ったタイミングを見計らい、加速装置をオンにして(私には付いているが相棒にはついていない…まあ、なんとかなるだろう)
倉庫を飛び出し逆方向へすごい勢いで走り出した。一気に周りの風景が流れる様に歪む。
が、しばらくするとそれは無駄だと分かった。私が逃げるべき方向、その先の空間はちょうとチーズケーキのワンピースの様に先細りになっていて、その同じ空間が
ケーキの様にグルッと周囲を取り囲んでいた。
左右にグルッと取り囲むように、モチロン正面にも全速力で走る私がいて、チーズケーキの先端以上は進めない。

何者かのしかけた罠…というよりこの加速装置特有のバグなのかもしれない。
「一定速度を超えるとこうなってしまうのだ…」と
その瞬間にアタマの中で、既に承知のコトとして理解した。というか知っていた。

でも諦めて走るのを止めたとたんにその空間の歪みは消失して、
右側に小さい切れ目が現れたので、その中に入ってみた。
もう、暗殺者とは無縁の平和な郊外、埼玉県の奥の方らしかった。
畑の向こうに、屋根に大きな大きな歯車を乗せた木造の民家がある。
歯車はゆっくり回転していて、家全体もそれにそって傾いて回転している様にみえる。
近づいて…中に入ってみると壁は全部、その歯車から釣り下がっている簾状のモノで、夕方の日差しや、心地よい風が、簾を通して入ってくる。
なんなんだろう…その地区に伝わる、伝統的な造りらしかった。
なんらかの宗教的な意味も込められているらしかった。

主人が満足そうな顔でお茶を勧めてきたので、一緒に飲んだ。
しばらくすると風も強まり、ちょっと寒くなってきた。
「夏ももうじき終わりだな」ちょっとだけ寂しい気持になった。

2005年1月9日日曜日

ジロウとタスカン


何かのパーティーの帰り、ジロウが車で来ているというので、ついていった。駒沢通り槍ヶ崎交差点〜恵比寿間の様な場所に路駐してあるのはパールブルーの新車のタスカンだった。
どうしたの?と聞くと「冗談半分でローンを申請したら通ったのでとりあえず買ってみた」と笑みを浮かべながら言う。
お金もないのに、大丈夫なのか。ジロウは全く気にしていない。
でもその車がジロウのモノであるコト、は自然な当たり前のコトにも思えた、と同時に、確かにそれは気にしなくてもいいコトなのだと思えた。

内装はタンだった。細い横畝がはいったバケットタイプのシート。走りながらジロウは「ああ、ここはこうなっているんだ…」とか「なるほど…」とか、いつもの冷静な口調で盛んに呟いている。ホントに買ったばかりなのだ&ちょっとアブナイんですけど。

予想とは裏腹に滑るように静かに走る。目の詰まった低く太いエンジン音がかすかに聞こえてくる位。
どうやらタスカンの形をした、別の車の様だった。
ライトが点いていないのか道が暗い。でもジロウに言うと「僕には見えているよ」みたいなコトをいう。ホントにそうなのか、彼流のうそぶきなのか分からなかった。

そのうちトンネルにはいって、何回か分岐を経た先、路上に崩れた瓦礫がぼつぼつ落ちている。
「これは底をこするぞ」と思ったら、彼はその手前で車を止めた。
道の真ん中。降りるつもりらしい。
「セキュリティーボタンを押してくれよ」と言うのだが、ドアに三つついているボタン状のモノはどれも小さくて、機能もよくわからない。もう一度教えてもらうと声が「そんなコトもわからないのか…」みたいなムードいっぱいになっていた(笑)
それはドアノブのすぐ下についている、5ミリくらいのドームトゥイーターにしか見えないスイッチ?で、円周に沿って小さくセキュリティー何々…と英語で書かれている様だった。分からないよ(笑)これじゃあ。
ボタンを押すと、作動中のランプが三つ、点滅し始め、同時にウインドウが半分くらい下がって止まった。
(どういうセキュリティーなんだ…)

ボタンに集中しているうちに、トンネルの中から路上になっていた。埼玉の何処からしい。Y字路の真ん中に車は止まっていた。もう瓦礫は無かった。時間はお昼頃になっていた。

ジロウは何も言わず、すぐ横に建っている、真っ黒の、木造なのに4階建て、所々に正方形の窓がはめ込まれた建物に入っていった。

とりあえずタスカンを携帯で撮って日記にアップしようと思い、私は車の周りをうろついてポジションを探した。
上の方から「あそこにいるのは、アーティストってやつに違いないよ」と声がする。見上げると、建物の途中に小さいベランダ状のモノが突き出していて、そこから地元の住人たちか覗いている。

軽く会釈して、再び携帯を構えたりしているとベタっとしたモノがアタマの上に何か落ちてきた。太い毛糸によく噛んだガムを絡めた様なへんなもの。髪の毛についてなかなか取れない。どうやらベランダに「下を歩いている人に何かいたずらしましょう」とかなんとか書かれた札がかかっているらしい。

このヘンな建物でジロウがワークショップを開催しているのだった。

それっぽい女の子が私の横に来て「この車をバックにジロウさんのサインと一緒に写真が撮りたいですぅ〜!」なんて言い出すので「じゃあ、どうせなら本人がいいでしょ?中に入ろうよ」と一緒に中に入ると、中にはさらにそれっぽい(笑)男女でいっぱいだった。やたら親しげに話しかけてくる女性もいて、どうやら昔付き合ったコトのある女性らしかったのだが、名前が思い出せない。困ったな…

しばらくすると、今度はジロウの提唱している(実際はしていないと思うけど(笑))マラソンをしながらアートを鑑賞する、というイベントの時間が近づき(精神状態の変化、芸術と健康増進の合致など、いろいろ御託があるらしかった)山伏っぽいデザインのジャージに着替えたジロウを先頭にどんどん外に出て行く。

私も一緒に外に行きたかったんだけど、先ほどの女性や、飲み屋の主人ふうの熱心な地元の主催者などに話し込まれてしまい、なかなか解放してくれない。中がどんどんガラガラになってきて、私と主催者と、その奥さんらしいフィリピーナの三人になってもまだ、話は続いた。もう、マラソンは出発してしまっていた。